歯周病で抜歯と言われた

他院でメインテナンス治療を受けていたこともあるが、だんだん悪くなっていくような気がしていたとのことです。
当院歯科衛生士による基本治療（ブラッシング指導、プラークコントロール、歯肉縁下歯石除去）後にも以前深いポケット（右下5番の近心部）9㎜が残存しており、メインテナンス管理によって悪化を食い止めることが困難と判断し歯周組織再生療法（歯肉と、骨を再生する治療）を行う計画を患者様に伝えて、手術が必要であること、歯周組織再生のために、塗布する薬を使うこと、人工骨を使用することの同意を得て治療を行いました。

この治療を受けることによって、失った骨を一部取り戻し、歯肉ポケットを浅くすることによって、悪玉歯周病菌の繁殖を防ぎ、これ以上悪くならないように管理ができることを目標としました。
レントゲンにて赤三角で囲まれた部分が歯周病によって骨を失っている部分です。

術後半年後に深い歯周ポケットは改善し、メンテナンスしやすい環境になりました。

歯肉を切開し、骨欠損部を観察すると、大きく三角錐状に骨が失われていました。手術をしないで、放置すると、この深いところで、歯周病は進行していきやがて、歯がぐらぐらして抜けてしまう恐れがあります。
この部分をきれいに掻把（掻き出してきれいにすること）を行います。

エムドゲインというお薬を入れて、人工骨を骨欠損部に填入（いれる）しました。

治療前と治療後のレントゲン写真赤矢印の部分が治療を行ったことによって、骨が形成されていることが分かります。

治療前には、ポケットの深さが9㎜あったものが治療後には4㎜まで減少しました。
出血もなくなり、歯周組織は健康を取り戻すことができました。

治療後2年後においても再生した骨は維持できています。
患者様にとってこの部分の不快感がなくなり、この歯を保存できたことに大変喜んでおられます。

強い痛みの症状はないですが、違和感がいつも強く、歯周病の特長である症状がないまま大きく進行している状態と考えられました。奥歯の分岐部と呼ばれる股の部分に大きな問題がありました。

ファーケーションプローブという分岐部病変に使いやすい診査器具で調べるとこの部分のポケットが深く重度に進行していることがわかりました。
歯周組織再生療法を行わないと、じわじわ進行していき、いづれは抜歯になると診断したため、患者様の同意を得て、治療を行うことになりました。

治療前と治療後のレントゲン写真です。
黄色矢印の根分岐部のところが骨が形成しているのがわかります。

歯周組織が再生して、安定した状態を確認して、セラミッククラウンの治療に移ります。

安定した歯周組織を獲得したことによって、この歯が、安定して、今後経過していることが期待できます。
患者様の不快な症状、時々痛みがあったこと、など症状がなくなりとても喜んでいただけました。