抜歯を行うとその時から、生体抜歯窩(抜歯をされた歯槽骨の穴)の傷口を治そうとしてさまざまなサイトカイン(治癒を促進させようとするたんぱく質の総称)を放出します。
その治ろうとする力を利用して、インプラントをその時に埋入するとインプラント周囲に治ろうとするサイトカインが放出され、きれいに治ってくる過程の中でインプラントが生着します。
事実抜歯即時埋入のインプラント周囲に再生する軟組織はとてもきれいで、直線的に治ります。
抜歯を行うとその時から、生体抜歯窩(抜歯をされた歯槽骨の穴)の傷口を治そうとしてさまざまなサイトカイン(治癒を促進させようとするたんぱく質の総称)を放出します。
その治ろうとする力を利用して、インプラントをその時に埋入するとインプラント周囲に治ろうとするサイトカインが放出され、きれいに治ってくる過程の中でインプラントが生着します。
事実抜歯即時埋入のインプラント周囲に再生する軟組織はとてもきれいで、直線的に治ります。
これに対して、抜歯後2か月から6か月待ってからインプラントを埋入した場合はどうでしょう。いったん治ってしまった軟組織をもう一度切開し、一から治癒過程を繰り返します。また、この時には、もう歯を抜いてからしばらくたっていますから、抜歯窩は治癒しています。この抜歯窩をふさごうとするサイトカインは以前抜歯した時につかわれてしまっているので、今回のインプラントの固定時には、使われないということになります。
よって二度手間ということ以外にも、治癒を促進してくれるサイトカインの協力が得にくい治癒形態となります。
抜歯即時埋入を否定する理由として、抜歯の原因になった感染源(感染物質、つまりバイオフィルムとか不良肉牙組織等)が完全には除去できないので、生体が自然に除去してから、それから清潔になった状態でインプラントを埋入した方が感染のリスクが少ないと考えがあります。
答えは徹底的な感染源の除去を抜歯後に行います。
まず、組織を挫滅することなく愛護的に抜歯を行い、抜歯を行う際も、感染源が周囲に飛ばないように可及的に注意して行います。
そして抜歯を行ったら、炎症組織を徹底的に除去します。(ラウンドバーや、鋭匙、各種器具を用いて、周囲の健全の軟組織がしっかり触れるまで)この際、炎症組織は、出血が多いので、出血がなくなるまで(異常な出血という意味、じわじわすこしずつ出る出血は正常な出血)しっかり行います。
しっかり止血出来たら、除菌水を用いて、何回も洗浄し、創を清潔にします。
この一連の処置はとても重要で、ここに時間をかけて行うことで、感染源を問題の出ない程度に低下させます。また術中に抗生物質の点滴を行い、二次感染の予防にも努めます。
歯を失うほどの問題があるわけだから、残された骨の量も少なく、インプラント固定するだけの十分な骨がない。よって待ちたい。
これは確かにそう言う場合もあります。当院の抜歯即時埋入を行わない10%の症例でもこの場合が多いです。どういうことでしょうか?
現状、選択できるインプラントはたくさんあります。その一つ一つのメーカーに特徴があります。少ない骨でも固定が取れやすいインプラントもあり、それは選択できます。
しかし、ある歯科医院では、インプラントを複数メーカーそろえてない場合も多くあり、固定を取れやすいインプラントメーカーやインプラントの種類を選択できないので、抜歯即時埋入を行わないということもあり得ます。
ドリリングのテクニックもいろいろありますそのテクニックを使わなかったり、使えなかったりすると、固定がとりづらくなると思います。(例:アダプテーションテクニック、デンサーバーテクニック等)
また、HAインプラントを使うことによって、固定がほとんど取れなくても、大丈夫です。むしろこのHAインプラントは固定が取れないこと、というか取らないことで、デザインされているので、むしろ固定が取れないことで力を発揮します。(しかしHAインプラントには症例によっては、使わないほうが良い場合もあるので、慎重な選択が必要です。当院でも使用できます。)
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この①②③の三つの点から抜歯即時埋入をするかどうかの判断が下されますが、
歯科医院や、担当の歯科医師によって
判断はまちまちです。
インプラント相談をお受けする患者様から、
よく言われることが、
他の歯科医院では抜歯即時埋入はできないといわれた。大丈夫なんですか?
先生は、できるといわれますが、どちらを信じればよいのでしょうか?
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その答えとしては、
どちらも正しいということでしょう。
つまり、その歯科医院や歯科医師によって技術や考え方、知識がちがうので、それに応じて術式は判断されるということです。例えると、最近では、内臓外科の領域で、かなり広範に広がっている癌も内視鏡でできるようになっていると聞きます。
最初のころは、内視鏡の内臓の外科といえば、胆石除去の胆のう摘出術程度でした。つまり簡単な手術のみ適応とされていました。理由は難しい手術には対応できないからです。
しかし、技術の革新や、治療設備の充実によって、その適応が拡大し続けていると聞きます。患者様からとってみれば、初期の胃がんでお腹を15センチくらい縦に切られて、術後その痛みから入院期間も長く、リハビリに時間がかかるより、内視鏡で3か所1センチ程度の穴から手術を受ける方が楽でしょう。術後の痛みがほとんどなく、社会復帰も早いわけです。
現在でも、医師の技術、知識の有無、病気の進展度によって境界領域はあります。つまり同じ患者様でもこの病院では、内視鏡で切除できる。この病院では、従来法のお腹を大きく切る方法を選択する。
しかしどちらの医師もきちんと自分が治せる方法を選択しているわけです。内視鏡を選んだから、失敗しましたでは、許されないわけです。知識や技術や設備によって、手術方法は選択されるということです。
インプラント抜歯即時埋入でも、
どちらの先生が正しいのではなく、
どちらも正しいが、考え方と技術、知識が
違うので、選択する術式が違い、
それに応じて患者様に説明し、
選択してもらっているということで
あろうと思います。
例えば、上顎臼歯部にサイナスリフトを
しなくていけないと
他院で言われた場合に
ついて考えてみましょう。
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実際このような相談患者さまは多いです。
サイナスリフトの術後の腫れ、痛みの大きさの
説明を受けて回避する方法はないかと
当院に相談されるわけです。
結論を言うと当院ではサイナスリフトを
選択することはありません。
理由はサイナスリフトを選択しなてくも、
より侵襲の少ない代替方法で同等の効果を
出せるようになったからです。
そもそもなぜ他院でサイナスリフトが
必要と診断されるのか?
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上顎臼歯部に、インプラントを埋入するための必要な垂直的な骨が、少ない場合必要です。
一般的なスクリュー固定式のショートインプラント(垂直的に短いインプラント)が7㎜ですので、それより残存骨が垂直的に少ない場合は、理論的には、必要だということになります。一般的には、3㎜から4㎜より少なければ、サイナスリフトが必要だと考えられているようです。(当院の基準は異なります。)
一般的に考えられている適応としては、、、
残存骨が7㎜以上 | 必要ない (7㎜~9ミリくらいまでの骨はショートインプラントで対応) |
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残存骨が3㎜から7㎜3㎜から7㎜ | ソケットリフト |
残存骨が3㎜未満 | サイナスリフト |
ということが多いようです。
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またサイナスリフトを選択する場合は、同時にはインプラント埋入をしない場合が多いようです。
理由は、インプラントには、固定が必要ですが、固定が取れないと考えているからだと思われます。
ここでサイナスリフトと、ソケットリフトの術式の違いを示します。
上顎洞前壁の穴をあけて、粘膜を挙上し、人工骨を填入する(いれる)切開線としては、このような形になります。
このように術野として、3㎝×4㎝の12㎠の広さが必要です。骨も1㎠以上削除しないといけません。
インプラント埋入する穴から上顎洞粘膜を挙上し、人工骨を填入する。(いれる)
このように、ソケットリフトは少ない術野で治療できるので、術後の腫れ、痛みがすくなく、とても優れた方法です。
しかし、一般的には、先ほど示したように、残存骨が3㎜から7㎜ないとできないで、3㎜以下の残存骨にはサイナスリフトを適応しますが、当院では3㎜以下の残存骨でも、ソケットリフトを適応します。よってサイナスリフトを選択する必要がないのです。
そしてまた、同時にインプラント埋入をします。3㎜以下の少ない骨でも固定をできるインプラントシステムと技術を用いて、患者様の手術の回数を減らします。
まとめると、3㎜以下の残存骨でも当院では患者様の術後の痛み腫れを最小限にするために、サイナスリフトを選択せず、ソケットリフトを工夫することによって、達成しています。