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基本的知識を知る

舌骨の位置と
筋肉の関係

舌骨と位置と筋肉の関係

まず舌骨上筋と舌骨下筋の関係を説明します。図を参照してください。

舌骨とは一般的にいわれているのどぼとけの上にある小さな骨です。
嚥下(飲み込むこと)や開口(お口をあけること)に関して、それぞれ上下の筋の制御を行い中心的な役割を果たします

舌骨
舌骨

舌骨上筋(オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋)の過緊張があると、下顎を後方に常に引っ張る力が加わり、下あごが前方に成長しにくい。よって下あごが小さい。小下顎(一般的には、顎がないと言ったりします。)

舌骨下筋群(甲状舌骨筋、胸骨甲状筋、肩甲舌骨筋、胸骨舌骨筋)

舌骨下筋群の緊張があると、間接的に下顎が下方に下げられ、顔が長くなる、開咬(上下の前歯がかみ合わない)などさまざまな歯列不正、顎骨位置異常がおきます。

そして舌骨の嚥下、開口、呼吸時の果たす役割は大きく、口呼吸、低位舌、異常嚥下という異常習癖があると、舌骨上筋群、舌骨下筋群が過緊張を起こし、さまざまな歯列不正、顎骨位置異常を引き起こしてきます。

小児予防矯正では、呼吸の仕方、舌の正しい位置、正しい嚥下の仕方をアクティビティで楽しく学ぶことによって、かみ合わせ、顎顔面形態を整えていきます。

舌骨下筋群

異常嚥下の割合は?

実は、正しく嚥下できている子供は
本当に少ないです。

7㏄程度の水を含み、上下の歯を噛み合わせて、イー発音しながら唇を大きく左右に開いた状態で嚥下できるか?というテストにおいて、0~9歳までの子供では、68.3%ができませんでした。正しい嚥下とは、舌を上あごにつけて、唇を大きくを開けていても飲めることです。

できないということは、常日頃から、これとは違う方法で嚥下する癖がついており、嚥下のたびに舌骨下筋群や舌骨上筋群に負担がかかる方法を採用しているということになります。おおもとの原因としては、子供の嚥下は勝手に覚えるものであるから、誰も指導しないということに尽きると思います。

舌骨下筋群

言葉がわかるようになれば、
トレーニングを通じて正しい嚥下を教えることによって正しい噛み合わせ、
より良い顎顔面形態にすることができます。

嚥下パターンの発生頻度

参考文献
吉田悦子ら他、健常者における誤った嚥下パターンの発生頻度
1-15 2005 日本咀嚼学会誌

上顎狭窄歯列の原因

舌骨と位置と筋肉の関係

上顎歯列は、唇の筋肉(前方)頬の筋肉(側方)
舌の筋肉(内側)の
バランスによってその形が決まります。

上顎の歯列が小さい(狭窄している)ことは、
舌の筋肉が正しいポジションに位置付けられて
いなかったので、頬と唇の筋肉に押されて、
狭くなったと考えます。

ここで問題になるのは、低位舌です。

低位舌とは

低位舌とは、舌が安静時(リラックスしているときに)上あごについておらず、重力によって下に落ちていることです。
結果、鼻で呼吸しずらいので、口が開いていて口呼吸していることが多いです。

安静時には、舌は上顎の裏側に持ち上げていることが大切ですが、これも教えてもらって、トレーニングしないと通常では獲得しずらいと思います。結果先ほどしめした図表のように0~9歳までの68・3%が異常嚥下をしている原因にもなっています。

低位舌

口腔周囲筋、特に頬筋の緊張があるとこのようになりやすく頬筋の場所は外からみると頬骨の下になります。

母指吸引癖があると常に頬筋が過緊張を起こしている状態ですので、より狭窄歯列になります。

不正咬合

実際にお子様の口腔内がどうなっているかスマホで簡単にとる方法を見てみましょう。

ご興味がある方は試してみてください。

お子様の上顎の写真の撮り方

連射モードにしたスマホを片手に持って、座っているお子様の正面に膝立ちします。

お子様に首を伸ばして、天井をみてと指示します。スマホを上下ひっくり返して、カメラのレンズがのどの奥のほうがみえるように位置付けて、連射撮影します。曇ることがあるので、鼻で呼吸してね。と伝えます。撮影できたら一番ピントが合っている写真を選びます。

不正咬合

下顎前歯
叢生(らんぐい歯)

下顎前歯の叢生の原因は、上顎とほぼ同じです。
頬筋と口輪筋と舌筋のバランスによって、狭窄歯列になり歯並びが悪くなります。

基本的に上顎が狭いと、下顎はその狭い上顎の中で並ばないといけないので、上顎歯列に叢生がある場合は、ほとんどの場合下顎も問題が出ます。

口腔周囲筋、特に上唇、口輪筋の緊張が原因として考えられます。また口唇閉鎖のための緊張します。

下顎前歯叢生(らんぐい歯)

お子様の
下顎の写真の撮り方

連射モードにしたスマホを片手にもって座っているお子様の正面に膝立ちします。お子様におへそをみるように指示します。今度はスマホを上下ひっくりかえさず、カメラのレンズがのどの奥のほうがみえるように位置付けて、連射撮影します。曇ることがあるので、鼻で呼吸してね。と伝えます。一番ピントが合っている写真を選びます。

下顎の写真の撮り方

お子様に梅干ししわができるかどうか確認する写真の撮り方

椅子に座っているお子様の正面に、膝立ちをし、カメラを向ける。奥歯をかみ合わせながらお口を軽く閉じてと伝えましょう。自然な表情の時に何枚か写真を撮りましょう。

一番ピントが合っている写真をえらび、顎のところをクローズアップしてみて、顎の先端の少し上の部分がしわになり、盛り上がっていたら、オトガイ筋の過緊張が見られ、無理をしないとお口が閉じられないというサインになります。

下顎の写真の撮り方

ガミースマイル原因の考察

ガミースマイルとは?

笑った時に、歯よりも歯肉が多く見える特徴を持った笑顔をガミースマイルと言います。基準として歯の根元より3㎜以上歯肉がみえているとガミースマイルといいます。

ガミースマイル

原因は口腔周囲筋、
特に口輪筋の緊張です。

口腔周囲筋とは、口のまわりにある顔面表情筋を含む、口腔周りについている筋肉全部の総称。

原因

口輪筋・鼻筋・オトガイ筋・笑筋等が異常習癖により過緊張を起こしています。下顎の成長の方向が主に正常に比べて、下方に成長している場合、上顎の骨も下方に成長し、笑った時により歯肉が見えやすい状態になっています。当院では、軟組織の評価をしっかり行います。

口腔周囲筋、特に口輪筋の緊張

口腔周囲筋?とは、口のまわりにある顔面表情筋を含む、口腔周りについている筋肉全部の総称。
口輪筋・鼻筋・オトガイ筋・笑筋等が異常習癖により過緊張を起こしている

下顎の成長の方向が主に正常に比べて、下方に成長している場合、上顎の骨も下方に成長し、笑った時により歯肉が見えやすい状態になっている。
当院では、軟組織の評価をしっかり行います。

ガミースマイル

その他、以下のような症状、
所見を診断のため重視します。

三白眼

この状態があると、上顎骨の成長方向の問題を考えます。

三白眼

眼の下のクマ

口呼吸により睡眠の質の低下を疑います。

眼の下のクマ

唇の乾燥

常習的な唇の開き、口呼吸を疑います。

唇をよく舐める癖として認められることもあります。

唇の乾燥
呼吸の医学的な原因の一例
(アデノイド肥大)
呼吸は悪習癖もありますが、アデノイド肥大という病気がある場合、仕方なく、口で呼吸せざるを得ない場合もあります。耳鼻科での診断が必要です。

アデノイド顔貌とは?

口呼吸の原因として、アデノイドの肥大があります。

アデノイドとは鼻腔の奥にあるリンパ組織のことで「咽頭扁桃」とも呼ばれます。

またそれに付随するアデノイド顔貌とは、細菌やウイルスから身を守るために免疫機能が敏感に作用することで、アデノイドが肥大せざるを得なくなることでみられる特有の顔つきのことをいいます。

アデノイド顔貌とは?

にわとりが先か卵が先か?わかりませんが、鼻呼吸ができないことから、口呼吸になる。口呼吸になると口内に侵入する細菌やウイルスの数が増えてしまうため、アデノイドが肥大してしまうと考えられています。

またアデノイドが肥大してしまうと、鼻呼吸がしずらくなるので、口呼吸がますます多くなるということです。この悪循環を断ち切るのは、こうなってしまうと難しいです。

アデノイド顔貌とは?

口呼吸なぜだめなの?

口呼吸をしていると口周りの筋肉が緩んでしまい、前歯に舌の力がかかるようになるため、前歯が前方に押し出され、さらに、アデノイド顔貌の中で最も危険な症状といえる、眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」を発症することもあります

顔の筋肉の緩みによって、舌根沈下により気道が塞がれてしまうため、呼吸が止まってしまうのです。

他にも、耳管の開口部を圧迫してしまうことで開口部が塞がれしまい、中耳(鼓膜より奥の部分)に溜まった滲出液が排出されなくなることで、鼻と耳を繋ぐ耳管の開口部に位置するアデノイドが腫れてしまい、「急性中耳炎」や「滲出性中耳炎」になりやすくなります

アデノイド肥大の改善方法

アデノイド肥大が続いている場合は、鼻呼吸がむずかしく、どうしても口呼吸になってしまいがちです。そのため、アデノイド肥大を治療して鼻の気道を確保すれば鼻呼吸がしやすくなるので、アデノイド肥大の治療法は、抗生剤や消炎剤を服用かアデノイドの切除手術になります。アデノイド肥大は、アデノイドに炎症が起こっている状態ですので、抗生剤や消炎剤を服用することで、アデノイドの炎症に効果的です。

アデノイド肥大が慢性化しており、これらの保存療法が期待しづらい場合、アデノイドの切除手術も考慮されます。アデノイドを切除することで、根本的に問題を解決することができますが、この手術は歯科医院では対応できないため、耳鼻咽喉科などの専門の医療機関で診てもらってください。

アデノイド肥大

まとめ

以上、顔の特長や、口腔周囲の軟組織の癖、舌の使い方、姿勢などから、悪習癖の存在を疑い、診断していくことの重要性をお伝えしました。繰り返しになりますが、呼吸や、嚥下の正しい方法を習得することで、悪い歯並びやかみ合わせになることを予防することができます。気になる点があった親御様は、一度当院まで相談にいらして下さい。


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